ALEX MOULTON(アレックス・モールトン)の自転車に興味を持ったとき、
・どんなモデルが存在するのだろう?
・シリアル番号からモデル名や年式はわかるのかな?
など、アレックス・モールトンについてわからない事がある方は多いはずです。
筆者自身も、情報収集を始めた頃は明確な情報が少ないことに気が付きました。
イギリス発のブランドであるため、日本語でまとまった資料は決して多くありません。
そこで、筆者が独自に調べ、整理した情報をこの記事で共有します。
アレックス。モールトンの歴代モデル一覧やシリアルナンバーから年式が特定できるのか?という調査結果など、できる限りわかりやすくまとめましたのでぜひご覧ください。
この記事はロードバイク・スポーツ自転車買取専門SECOND ROADの年間1,500台以上の査定を行う山田が独自で調べた妥当性の高い年式情報となります。もし情報に誤りがある場合はこの記事のコメント欄からお知らせいただけますと幸いです。
歴代モデルと年表
以下の表は全てのモデルを網羅している訳ではなく完全版ではないですが、リリースされた年代に妥当性があるモデルをまとめてみました。
年代 | モデル名 | 特徴 |
---|---|---|
1962年 | Moulton Standard | 初めて世に出たアレックス・モールトンの初号機 |
1962年 | Moulton Deluxe | Standardの上位版。 |
1964年 | Moulton Speedsix | スポーツ向けのモデルで、軽量化と高速性能を重視。 |
1965年 | Moulton Safari | ロングライドやツーリングに対応するため、荷物を積載しやすい工夫がなされたモデル |
1965年 | Moulton Stowaway | 分解(セパレート)できる機能を搭載したモデル |
1967年 | Moulton Major | ミドルグレード的な立ち位置でリリースされたモデル |
1970年 | Moulton Mk3 | 普及モデル的な立ち位置で改良が重ねられたモデル |
1983年 | AM-2 | 2速ギアを搭載したAMシリーズの初期モデル |
1983年 | AM-7 | AM-2と同時期にリリースしたとされている7速モデル |
1980年代中盤頃 | AM-5、AM-8 | 5速、8速モデル |
1980年代中盤〜後半頃 | AM-14 | より多段化・高性能化が進んだモデル(14速) |
1980年代中盤頃 | AM Speed | AMシリーズの中でも高性能・高速巡航を重視したモデル |
1985年 | AM-GT Mk.1 | グランドツーリング向けのモデルで、長距離ライドに適している |
1987年 | AM Jubilee | アレックス・モールトンの25周年を記念して製作された限定モデル |
1980年代後半頃 | AM-20 | 20インチホイールを採用したモデル |
1988年 | AM-ATB | オフロード性能を意識したモデル |
1988年 | AM-GT Mk.2 | サスペンションやフレーム設計が見直されたAM-GT Mk.1の改良版 |
1980年代後半〜1990年代前半頃 | AM-20 Mk.2 | AM-20の改良版 |
1991年 | AM-TA | ツーリング性能を重視し、荷物積載能力や調整可能な設計が特徴のモデル |
1992年 | APB | パシュレー社との協業モデル。ツーリングからオフロードまで対応する「万能」志向のスペースフレームモデル |
1992年〜1995年頃 | AM-GT Mk.3 | キャリアやバッグの互換性もアップグレードしたAM-GT Mk.2の改良版 |
1988年 | AM-ATB | オフロードでの利用を想定したモデル |
1998年 | New Series | 軽量かつコンパクトなデザインを採用サレタモデル |
2000年 | SINGLE PYLON | 後にリリースされるDouble Pylonより初期の段階で製造されたモデル |
2003年 | AM Jubilee 20 | AMシリーズ誕生20周年を記念したアニバーサリーモデル |
2004年 | Double Pylon | スペースフレームの最高峰モデルで、高剛性とエアロ性能を実現 |
2005年 | TSR-30 | APBシリーズの後継として、Pashley社が英国で製造を担当 |
2005年以降 | TSR-8、TSR-27 | フレームやサスペンションの技術は共通で8速と27速のモデル |
2006~2007年頃 | TSR-2 | シンプルな2速コースターブレーキタイプ |
2000年代後半~2010年代前半 | TSR-9 | TSRシリーズの外装変速モデル |
シリアル番号から読み解ける情報
シリアル番号は車体番号と呼ばれる全ての自転車に付与される番号です。
アレックス・モールトンに限らずロードバイクやマウンテンバイクも同様に、フレームBB(ボトムブラケット)下部に刻印されていることが多いです。
結論、この車体番号から自力で年式やその他情報を特定することはできませんでした。
海外のWEBサイトやコミュニティの履歴も調べましたが私のリサーチ力ではそれもかなわず・・・
ただし、限定品や記念モデルなど、特定のモデルに関しては、ナンバリングが施されている場合があります。このナンバリングが一般的に「シリアルナンバー」と呼ばれるものになります。
例えば、モールトン博士80歳記念モデルとしてリリースされたAPB Fx80は80台限定で、シートポストにナンバリングが付与されています。
これはシリアルナンバーか?
↑この写真はアレックス・モールトンのシートポスト下部付近の写真です。
赤枠内の「BS6102:1992」、「EN14764:2005」の文字列は近年のアレックス・モールトンには貼られている場合があり、この文字列をシリアル番号と勘違いしてしまう場合も多いようです。
この文字列は自転車の安全と品質に関する規格でそれぞれ以下の通りです。
・BS6102:1992…イギリスにおける自転車の安全基準を定めた英国規格
・EN14764:2005…欧州で定められた安全と品質に関する基準規格。主に一般的なシティサイクル(街乗り用自転車)やトレッキングバイクが対象
モデルの見分け方
モデルを見分ける必要があるシーンとして、たとえばフリマアプリで購入を検討する際、出品者が提供しているモデル情報が正しいか確認したい場合や、譲り受けたアレックス・モールトンがどのモデルに該当するのかを調べたい場合が考えられます。
まずは、デカールで記載されているモデル名を確認しましょう。ただし、モデル名の記載がない場合も少なくありません。
その際、アレックス・モールトンは、その独特な形状が特徴的な自転車ブランドなので、以下のようにフレーム形状や特徴を手がかりに調べることができます。
このようなプロセスを通じて、アレックス・モールトンのモデル特定を行いましょう。
日本総代理店のダイナベクターさんのホームページで確認する
ダイナベクター株式会社さんはアレックス・モールトンの日本の総代理店を務める会社です。
ホームページでは、現行モデルや生産が終了してしまったモデルも写真付きで紹介されているので、まずはじめにご確認いただくことをおすすめします。
モデル名で画像検索し確認する
次に、想定されるモデル名で画像検索を行い、フレーム形状を調べる方法があります。
特に販売ショップが掲載している画像は、モデル名が正確に特定された情報である場合が多いので、信頼性の高い参考資料として活用することをおすすめします。
お城製とは?
ヤフオクやメルカで出品されているアレックスモールトンを見ていると、
たまにタイトルに「お城製」と書いているものがありませんか?
「お城製って何?」と思われた方も多いはずです。
この「お城製」とは、イギリスのアレックス・モールトン社が本社兼工房を構える「モールトン・ハウス」(The Hall)で製造された自転車を指します。
モールトン・ハウスは、ウィルトシャー州ブラッドフォード・オン・エイボンにある歴史的な邸宅で、アレックス・モールトンが設計した自転車の高品質なフレームが製造されている場所です。この「お城製」という表現は、モールトン・ハウスがまるでお城のような趣ある建物であることから、日本の愛好家たちが親しみを込めて呼び始めたニックネームといえます。
特に、モールトン・ハウスで製造されるモデルは、職人によるハンドメイドで仕上げられており、細部にわたる美しい溶接や仕上げ、品質の高さが特徴です。そのため、「お城製」のモールトンは特別感や希少価値が高く、コレクターズアイテムとしても人気があります。
他のモデルはライセンス契約のもとで第三国や外部工場で製造される場合がありますが、「お城製」のモールトンは正真正銘の本社製造モデルとして、一目置かれる存在となっています。
まとめ
アレックス・モールトンの歴代モデルは、独自のフレーム形状や設計思想により、どれも個性的で高い評価を得ています。
しかし、その多様さゆえに、モデルの特定や購入時の注意が必要です。
フレームの特徴からモデルを正確に特定することで、その自転車の背景や価値をより深く理解できます。
特にフリマアプリや中古市場で購入を検討する際には、モデル情報に誤りがないか確認することが重要です。
また、自分のモールトンがどのモデルに該当するのか知ることは、メンテナンスやカスタマイズをする上でも役立ちます。
アレックス・モールトンをさらに楽しむためにも、正確な情報をもとに、その魅力を存分に味わいましょう!
それでは素晴らしいサイクルライフを♪
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